調査の概要
 
 近年,我が国では,少子化,都市化,情報化,国際化など経済社会の急激な変化を受けて,人々の価値観や生活様式が多様化している一方,人間関係の希薄化,過度に経済性を重視する傾向,大人優先の社会風潮などの状況が見られます。そして,そのような社会状況が,地域社会における子どもの育ちや家庭における子育て環境も変化させています。昨年度の調査報告書からは,我が子の健やかな成長をめざして「基本的な生活習慣」や「人とかかわる力」をしっかり身に付けるようにと頑張っている親の姿が見られました。本年度の調査では,同じ幼児を見る時に,父親と母親,先生ではそれぞれの立場の違いからか,見方に違いがあることがわかりました。どの見方が正しいかというよりも,それぞれの意識の差をお互いに理解し合うことが大切だと思います。
 幼児期は生涯にわたる人間形成の基礎が培われる重要な時期であり,平成18年改正された教育基本法には今まで無かった「家庭教育」「幼児教育」が盛り込まれています。そこには『父母が子どもの教育の第一義的な責任者である』ことが明記されるとともに,『国や地方公共団体は家庭教育を支援すること』が求められています。子どものしつけは家庭教育が基本とはいえ,核家族化や地域社会における地縁的なつながりの希薄化は,親の育児負担を大きくしているように思います。親の育児負担を少なくすると同時に「家庭の教育力」を高めていくためには,幼稚園や保育園,教育相談機関,様々な公共施設等,地域社会が育児を支えていく必要性を感じます。また同時に,保護者もそれらの機関に積極的にかかわり,つながり深めていくことが大切だと考えます。
 この報告書をまとめる際の話し合いの中で,『核家族であるゆえ,親が様々なトラブルに負けてしまいそうになることがある。しかし,トラブルも子どもが成長する上で大切なステップであると思うので,親が自信を持って生活していくことで子どもも地を踏みしめて歩いていけると思う。』という意見をいただきました。これからの子どもたちが心身ともに健やかに成長していくためには,「家庭」とそれを支える「幼稚園・保育園も含めた地域社会」が連携を取り合っていくことが,ますます重要になっていくのではないでしょうか。
 子どもを取り巻く環境が変化し様々な問題が指摘されている今,幼児教育にかかわる者はもちろんのことそうでない者も含め,私たち大人はもっと社会全体に目を向け,地域社会の中で未来を担う子どもたちを育てていくことを考えていく必要があります。各幼稚園から推薦され委嘱された協力員が苦労して調査し,この幼児教育研究協力員報告書をまとめました。「家庭教育」や「幼児教育」のために少しでもお役に立てれば幸いです。
                                      柏市立教育研究所    担当