近年,我が国では,少子化,都市化,情報化,国際化など経済社会の急激な変化を受けて,人々の価値観や生活様式が多様化している一方,人間関係の希薄化,過度に経済性を重視する傾向,大人優先の社会風潮などの状況が見られます。そして,そのような社会状況が,地域社会における子どもの育ちや家庭における子育て環境も変化させています。今年度の調査報告書からは,我が子の健やかな成長をめざして子どもとしっかりと向き合い育児に取り組もうと頑張っている親の姿が見られます。しかし,柏市においても,子どもを取り巻く環境の変化は,子どもの「基本的な生活習慣」や「生活リズム」の形成に少なからず影響を及ぼしてきているという実態も見えてきました。
幼児期は生涯にわたる人間形成の基礎が培われる重要な時期であり,改正された教育基本法には今まで無かった「家庭教育」「幼児教育」が盛り込まれています。現在,子どもの実態について「基本的な生活習慣が身についていない」「他者との関わりが苦手である」「自制心や耐性,規範意識が十分育っていない」「運動能力が低下している」などの課題が指摘され,「食育」「早寝早起き朝ごはん運動」等々…,全国的に色々な取り組みが進められています。しかし,子どものしつけは家庭教育が基本とはいえ,核家族化や地域社会における地縁的なつながりの希薄化は,親の育児負担をあまりにも大きくしているような気がします。保護者の「児童虐待」や子どもの「いじめ」が社会的な問題になっていますが,根本的に我が子の健やかな成長を願わない親はいません。この報告書をみても,保護者の1番の悩みは「心のしつけ」という結果がでています。これからの子どもたちが心身ともに健やかに成長していくためには,保護者がゆとりをもって育児ができるように,地域社会で支えていくことが必要だと感じます。そして,互いに心を開き地縁的なつながりを深めていくことが大切ではないでしょうか。
子どもを取り巻く環境が変化し様々な問題が指摘されている今,幼児教育に関わる者はもちろんのことそうでない者も含め,私たち大人はもっと社会全体に目を向け,自分自身の生き方と未来を担う子どもたちのことを考えることが必要です。各小学校区から委嘱された41人の協力員が苦労して調査し,市内の幼児や子育ての実態についてまとめたこの幼児教育研究協力員報告書が,「家庭教育」「幼児教育」のために少しでもお役に立てれば幸いです。
柏市立教育研究所 担当
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