幼い子どもの命が犠牲になる事件が続き,各学校が通学路の点検や見直しに取り組んでいます。集団による登下校や,大人が付き添っての登下校という姿もめずらしくなくなってきました。
最近の事件は,自然や社会環境の変化による子どもの成長や発達への影響が指摘されている現状に,まさに追い討ちをかけるかのようです。子どもたちの成長・発達には,親の限りない愛情が必要であることはいうまでもありません。人間は他の動物に比べて生理的に早産です。そこに人間の発達の可能性があるのですが,幼いうちは他の動物よりも保護が必要になります。しかし,同時に自然や社会と適切にかかわらせ,その年齢に応じ,自立の準備をさせていかなければなりません。親の保護と子ども自身の体験とのバランスが大切なのです。
今年度の調査報告書にも,子どもの安全に対する保護者の不安が子どもの体験に影響していることを表すデータが出ています。世の中の様子を見ても,年々親の保護が優先し,子ども自身の体験が後退してきている気がします。子どもが豊かな自然の中でのびのびと遊び回ったり,子ども同士で遊んだりすることはもうできないのではないかという不安にかられてしまいます。やむを得ないことですが,これだけ子どもを守ろうとする親の意識が高まると子どもの自立はさらに遠のく気がします。これからの子どもたちはどうなってしまうのか,大変不安です。
そういう今だからこそ,大人一人一人が,危機感を持ち,社会をどうしていくのか,子どもをどう育てていくのかについて見直さなければならないのだと思います。事件が起きたり問題が指摘されたりするたびにその対処に追われるだけで終わるのでなく,社会全体に目を向け,自分自身の生き方を考えることも必要なのではないでしょうか。
幼児教育研究協力員報告書は今年度からホームページへの掲載を中心とし,ダイジェスト版としてリーフレットを作成することにしました。各小学校区から委嘱された41人の協力員が苦労して調査した市内の幼児の生活や子育ての実態を,より多くの方々に知っていただければと思います。そして,不安の多い現代社会を生き抜く子どもたちのために,大人ができること,しなければならないことを考えるきっかけにしていただければ幸いです。
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