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☆ 「 伝えよう 手賀沼を 」 第2集 34〜37ページより
資料の一部に 「沼南町」がありますが、平成17年3月28日に柏市と沼南町が合併して柏市
になっています。
流入河川改修及び浄化施設 汚くなった手賀沼では、昭和40年代後半から度々アオコが発生するようになりました。アオコの発生により沼の水はカビ臭くなり、飲み水に用いるどころか水遊びもできなくなりました。 アオコの発生を押さえるにはリンを取り除くことが重要であり、手賀沼の浄化事業を行うには、沼へのリンの流入を押さえることと、沼にすでにたまってしまった底の泥に含まれるリンを取り除くことが必要なのです。 参考のデータとして、試算で1年間に流域から手賀沼に流入してくるリンの量は71tになるそうです。このうちの年間4.7tのリンを、流入する河川に設置された浄化施設により除去しています。 71t中の4.7tではたいしたことがないようにも感じますが、沼内に蓄積したリン(推定1,400t)を一日も早く除去するには非常に重要なのです。 その浄化施設には次のものがあります。 |
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ア. 大堀川礫間浄化施設 柏市を流れる、手賀沼流入河川の大堀川に設けられたヘドロ除去施設です。場所は柏市篠籠田地先(高田小学校脇)にあります。(図1のアの地点) 大堀川の河床に礫れきが敷いてあり、そこにポンプで空気を送り込みます。すると、礫に付着したバクテリアが、酸素の供給を受け、水中の有機物を活発に分解する仕組みになっています。 きれいになった水は手賀沼に流れ込み、汚泥は定期的にバキュームで吸い上げられて処理されます。 計画ではBOD(生物化学的酸素要求量)及びSS(浮遊物質)を77〜78%除去できるといいます。 |
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イ. 大津川触媒酸化浄化施設 柏市と沼南町の境を流れる手賀沼流入河川の大津川に設けられたヘドロ除去施設です。柏市戸張地先(中の橋の下流)にあります。(図1のイの地点) 川の流れをゴム引布製起伏堰で堰き止め、水を手賀沼に向かって左側にある浄化施設に引き込み浄化します。 浄化施設の内部では、プラスチック製の濾材によって浮遊物質を沈殿させます。更に、濾材の表面についた好気性のバクテリアに空気を送り、水中の有機物を分解させます。底に溜まった汚泥は定期的に取り除かれます。 |
ウ. 逆井河川浄化(リン除去)施設 大津川の支川に設けられた河川浄化施設です。柏市逆井地先(逆井中学校近く)にあります。(図1のウの地点) 仕組みとしては、施設に引き込まれた汚い水に薬品を加え、SSとリンを集めて水槽の底に沈ませて取り除きます。そして、水槽の上澄み水を砂濾過器ろかきに通して、さらに小さく細かいSSを取り除き、きれいになった水を川に戻すのです。又、取り除いた汚れは下水道管を通して手賀沼終末処理場に送られ、汚泥として処理されます。 この施設では、SSとリンを約80%も取り除くことができるといいます。現在、完成して稼働しているのは逆井の施設だけですが、流山市美田、柏市若柴、鎌ヶ谷市佐津間にも建設が計画されています。 |
エ. ヘドロ拡散防止 大堀川が手賀沼に注ぐ河口域の川底を、120mの長さにわたり、約1.5m掘り下げてあります。(図1のエの地点)ここを通る水に含まれる汚泥を沈降させ、ヘドロが手賀沼の方に拡散するのを防ぐためです。 同様の施設として、大津川の河口域にも施工が計画されています。 |
オ. 手賀沼ビオトープ 手賀大橋の東側、我孫子市岡発戸新田地先につくられた施設です。(図1のオの地点) ここは、ア〜ウのような機械や装置を使った浄化施設ではなく、水生植物を利用して水をきれいにすると共に、この地域本来のいろいろな生物が再生できる場所を目指しています。詳しいことは「手賀沼ビオトープ」で紹介します。 |
カ. 大堀川及び大津川の河川改修 大堀川ではほとんど完了していますが、現在、大津川では川幅の拡幅工事が行われています。この工事は「多自然型川づくり」と呼ばれ、岸をコンクリートで固めるのではなく、礫を敷いて岸を守ったり、川岸に植物を植えたりして、動植物の生息環境を守りながら水質浄化や治水をしようとするものです。 ビオトープの考え方を、河川に生かしたものと言っても良いでしょう。 水の浄化ではありませんが、大津ヶ丘第一小学校下の大津川では、旧土手(俗に「カワセミ堤」と呼ばれる)を残して拡幅工事をしています。その理由は、呼び方が示す通り、そこにカワセミの営巣地があるからです。 また、土手は傾斜を緩くして子どもたちが土手滑りを楽しんだり、土手の上では散歩を楽しんだり出来るように作っています。 この事業の主体は千葉県ですが、そこには、大津川河川改修懇談会に参加する流域の住民の意見が反映されていて、流域住民の憩いの場となりうる川づくりが進められています。 |
ヘドロ浚渫 (しゅんせつ) と処理 逆井河川浄化(リン除去)施設のところでも述べましたが、手賀沼浄化にはリンの除去が重要であり、その為には、リンが最も多く蓄積する沼底のヘドロの浚渫が欠かせません。 これまでに浚渫されたヘドロの量及び処理方法は次のようになっています。 |
<ヘドロ浚渫と処理方法> |
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(1) 直吹き 最初は大型機械による掘削とポンプ船による浚渫が行われていました。ポンプにより圧力をかけ、沼に面した土地へ吹き上げていました。吹き上げた浚渫土は天日で自然に乾燥させる方法を取っていました。 現在の柏市の柏ふるさと公園や、我孫子市の若松団地周りの堤防は、当時の浚渫土で嵩上げした土地です。 昭和59年8月の読売新聞の記事「苦悩する手賀沼」に、浚渫されたヘドロの捨て場所に苦労した東葛飾土木事務所柏支所のスタッフの話が掲載されています。 浚渫土の捨て場所の確保には、かなりの困難があったということです。 |
(2) セメント固化処理 しかし、土木事務所スタッフの努力にもかかわらず、付近に浚渫土を受け入れる土地が無くなり、ダンプトラックで運搬し、谷地の埋め立てに利用するようになりました。 そこで、平成5年ころより運搬に必要な土の強度を生み出すため、セメントを混ぜ合わせる固化処理が行われるようになり、沼から離れた場所にも浚渫土を捨てられるようになりました。 |
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(3) 高濃度薄層浚渫 平成8年度ころからは、リン濃度の濃い底泥を、より効果的に浚渫できる高濃度薄層浚渫船による浚渫が行われるようになりました。 これにより、効率的にリン濃度の高い底泥を浚渫できるようになりました。こうして浚渫されたヘドロは、手賀沼周辺の谷地に捨てられていきました。その場所は特に沼南町に多く、同町若白毛は平成13年度まで使用されていたといいます。 *東飾土木事務所ホームページ http://www.pref.chiba.jp/doboku/ 04toukatu/index |
(4) 高圧薄層脱水処理 平成10年ころから、建設リサイクルを目的とし浚渫土を減量化し、盛土材として再利用を可能とする脱水処理を行う方法がとられるようになりました。 その処理場は、沼南町箕輪新田(道の駅 「しょうなん」隣り)にあります。 (図1のカの地点) 1日約380m3のペースで脱水処理されており、現在、ここで処理された浚渫土は手賀沼右岸で、都市計画事務所により建設が進められている手賀沼自然ふれあい緑道の嵩上げ用の堤体盛土に使われています。 堤体盛土 |
☆ 「 よみがえれ 手賀沼 」 湖沼水質保全計画のあらまし
千葉県環境生活部水質保全課 パンフレットより