(4) 手賀沼の鳥

               手賀沼の鳥           ・ 昔の話
                                  ・ こんな鳥がすんでいます
                                  ・ 季節によってとりも変わる
                                  ・ 場所によってとりも変わる
                                  ・ 時代が変われば鳥も変わる
                                  ・ 水面で見られるおもな鳥たち
 
               鳥の写真    18 枚      ( 撮影 矢野 哲也 氏 )



        手賀沼の鳥

             「伝えよう 手賀沼を」 第2集 ページ 22,23、を掲載したものです。
                     

  昔の話

 手賀沼はかつて今よりも広い水面で大きな沼でした。江戸時代から干拓事業を続けた結果、水面の面積は元の水面の約2割になり、そのほとんどが水田に変わりました。

 1968(昭和43)年に干拓事業が完了しました。

 1921(大正10)年の調査では約40万羽のカモ類の個体がカウントされています。しかし、干拓事業が完了した現在では、せいぜい3千羽のカモ類の個体がカウントされるだけとなりました。明治から1942(昭和17)年まで手賀沼には狩猟を管理する組合があり、組織的なカモ猟が行われていました。(P54)流しもち網猟や張り網猟といった伝統的な狩猟が行われていました。当時のカモ猟をしのぶものとして手賀沼の近くにカモ猟の碑があります。

 カモ猟がさかんに行われていた頃、今では関東平野でもほとんど見られなくなったガンの仲間も渡来していました。


  こんな鳥がすんでいます。

 手賀沼周辺を1日歩き回ると、約30種類から40種類の鳥を見ることができます。見られる鳥の種類は月ごとに変わるので、1年間観察すると約100種類の鳥を観察することができます。日本で見られる鳥は約500種類ですから、手賀沼周辺では、日本で見られる鳥の5分の1の鳥を見ることができます。

 手賀沼周辺は、冬でもほとんど雪がつもらず、沼の水面も全面凍ることはありません。冬の間、地表が雪におおわれ、水面が凍ってしまい餌がとれなくなってしまう北国の鳥にとって、手賀沼は冬の避難場所のような役目をしています。したがって、手賀沼周辺では冬にはもっとも多くの鳥が見られます。
            
☆手賀沼周辺の渡り鳥の割合


  季節によって鳥も変わる

 鳥は翼をもっているため、飛行することで優れた移動能力をそなえています。このため、餌や繁殖地を求めて渡りをします。同じ場所で1年間鳥を観察するといろいろな鳥の種類が入れ替わっていく様子がわかります。手賀沼では、マガモやオオジュリンは10月から翌年の4月、ムナグロは3月から6月、ツバメは3月から10月、オオヨシキリは3月から9月頃に見られます。


  場所によって鳥も変わる

 手賀沼周辺のどこでも同じような鳥が見られるわけではありません。水辺を好む鳥、水田を好む鳥、林を好む鳥など種類によってすむ場所がちがいます。水面、ヨシ原、水田等の環境で比べてみます。


     ☆手賀沼水面の優先種     

 
・ カルガモ 28 %  ・ オナガガモ 12 %
・ コガモ 10 %  ・ オオバン 10 %
・ マガモ  7 %  ・ その他 33 %
  

     ☆ヨシ原の優占率         

・ スズメ 28 %  ・オオヨシキリ 16 %
・ オオジュリン 12 %  ・ホオジロ  8 %
・ カワラヒワ  7 %  ・その他 29 %


     ☆水田の優占率          

・ ヒバリ 27 %  ・ スズメ 13  %
・ カワラヒワ  9 %  ・ ムクドリ  7  %
・ ツグミ  6 %  ・ その他 38  %

  


  時代が変われば鳥も変わる

 人間は自然環境を変えてきました。そのため、鳥をとりまく環境も刻々と変化しています。かつて手賀沼にはガンなどが飛来しましたが、現在は1羽も見ることができません。

 一方カワウなどは1988(昭和63)年は見ることが困難でしたが、現在は100羽ほど見ることができます。コブハクチョウもかつて手賀沼では見られなかった鳥です。


  水面で見られるおもな鳥たち


        ☆ カイツブリ

1年中見られる鳥で、地元では「むぐちょ」とよんでいます。水の中にもぐるのが得意で、小魚やエビを食べています。

        ☆ カワウ

カラスのように全身が黒く大型の鳥です。杭の上などにとまり、翼をひろげて休む姿を見ることができます。水中に潜って大きなフナなどをまるのみします。

        ☆ ダイサギ

全身が白色で大型の鳥です。ほかのサギよりは一段と長い首とくちばしが目立ちます。長い足で体をぬらさぬように、水辺を歩いています。

        ☆ コサギ

全身白色の小型のサギで足の指が黄色です。指が黄色のサギはコサギだけなので見分けやすい鳥です。

        ☆ アオサギ

サギの仲間では最大です。灰色の体に青色の冠羽があるので見つけやすい鳥です。カラスの2倍くらいの大きさで、浅瀬を歩いています。

        ☆ マガモ

緑色の頭、茶色い胸、白い首輪があります。(オスの繁殖期)メスは全身が茶色です。アヒルとよく似ていますが、アヒルの原種がマガモです。

        ☆ カルガモ

全身茶色で黒いくちばしの先が黄色いので見分けがつきます。カモの仲間で、カルガモだけが1年中手賀沼で見られます。水面の漁網の上で休んでいるカモはほとんどはカルガモです。

        ☆ コガモ

手賀沼で見られるカモの仲間では最も小型です。オスの顔は茶色と緑色を白でふち取った美しい顔をしています。オスの両側のお尻には黄色の三角模様があります。

        ☆ オナガガモ

手賀沼で最も数の多いカモの仲間です。長い尾羽が特徴です。首には白いたて線が入っています。

        ☆ オオバン        

全身黒色で、くちばしから額にかけて白いのが特徴です。手賀沼では1年中多く見られるため我孫子市の「市の鳥」に指定されています。

                    ☆ その他の水鳥

 オオヨシガモ・ハシビロガモ・ミコアイサ・ユリカモメ・コアジサシ・バンなどが見られます。



                          写真をクリックすると拡大します。


コガモ

カルガモ

マガモ

カルガモ

オナガガモ

ハシビロガモ

ツグミ

バン

オオバン

クイナ

タシギ

コブハクチョウ

コサギ

コサギ

ゴイサギ

アマサギ

ユリカモメ

カワウ